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「医療広告ガイドライン」を知っていますか?
こんにちは、中野です。
2024年に入り、あっという間に一ヶ月が経ってしまいました。
社会人になってからは時間の流れがとても速く感じます。のんびりしていたら今年もすぐに終わってしまいそうですね。
今年は業務を通してWeb制作の知識を積極的に学び、たくさん成長できるように頑張りたいです!
さて、ここ数ヶ月はディレクションと更新業務のどちらも経験させていただいているのですか、業務を通して「医療広告ガイドライン」と呼ばれる存在を始めて知りました。
皆さんはこちらがどのようなものかご存じでしょうか?
「医療広告ガイドライン」とは
「医療広告ガイドライン」とは、医薬品や医療機器、医療サービスなどの広告に関する規制やガイドラインのことを指します。紙媒体や看板等の広告はもちろん、インタネットやSNSにもこのルールは適用されます。また、2018年の改正により、医療機関のホームページも広告の対象に含まれるようになりましたので、弊社もこのガイドラインを遵守しながらサイト制作を行なっています。
制定の目的と背景
この「医療広告ガイドライン」ですが、そもそもなんのために存在するのでしょうか?
規定の目的については主に下記5つの理由が挙げられます。
1. 患者さんの安全を守るため
医療広告は、患者さんに対して医薬品や医療サービスに関する情報を提供します。正確で信頼性のある情報が提供されない場合、患者さんが誤った判断を下す可能性があり、それが健康に悪影響を与えることがあります。ガイドラインは、患者さんの安全保障のために、広告が事実に基づいているかどうかを確認します。
2. 誤解の防止
医療は複雑で専門的な分野であり、一般の人々が理解しにくいことがあります。誇大広告や誤解を招く表現が行われると、患者さんが誤った期待を抱く可能性があります。ガイドラインは、広告が適切な情報を提供し、誤解を防ぐことを目的としています。
3. 医療専門家・医療従事者の倫理を確保するため
医療広告はしばしば医師や医療専門家の証言やイメージを含みます。ガイドラインは、これらの専門家が倫理的な基準に合致することを確保し、医療業界全体の信頼性を維持する役割を果たします。
4. 健全な競争環境を維持するため
医療広告ガイドラインは、広告主が公平で健全な競争を行うために必要な基準を提供します。誤解や不正確な情報を用いた広告を阻止することで、市場全体の信頼性と公平性が維持されます。
5. 法的要件を遵守するため
多くの国では、医療広告には法的な要件があります。ガイドラインはこれらの法的要件に遵守するよう広告主を指導し、法的なトラブルを回避する助けとなります。
そもそも「医療広告ガイドライン」が規定される前は、看板・チラシ等の医療広告は昭和23年に公布された医療法によって厳格に制限されていました。しかし、ホームページに関しては明確な規制がなかったため、自主的な取り組みしか行われていませんでした。
そのような中、近年になってインターネットの普及が進んだこともあり、美容医療(特に美容整形関連)のホームページに関する消費者トラブルが増加するようになりました。これを受けて、新たに医療広告ガイドラインが施行され、ホームページに関しても誇大広告や虚偽広告などが禁止されるようになったのです。
禁止されている表現
さて、ここまで「医療広告ガイドライン」の概要や規定された背景についてご説明しましたが、次はその中身についてご説明したいと思います。
まず、実際に禁止されている広告は下記となっています。
- 虚偽広告
- 比較優良広告(他の病院との比較表現)
- 誇大広告
- 患者の主観に基づく、治療等の体験談
- 患者を誤認させる恐れのある広告
- 公序良俗に反する内容の広告
それぞれについて、いくつか具体例を挙げてみましょう。
虚偽広告
- 「必ず成功する手術です」「この治療を受ければ絶対に治ります」など医学上ありえない表現
- 「100%の人が効果を実感しています」など、根拠を証明できない数値やデータ
比較優良広告(他の病院との比較表現)
- 「〇〇院より安く施術できます」「日本一の治療実績があります」など、たとえ事実であっても、他の医療機関と比較して自院が優良であると思わせるような表現
- 「芸能人の〇〇さんも通っています!」など、インフルエンサー・著名人との関係性をアピールする表現
誇大広告
- 「最先端の医療を提供します」などの誇大表現
- 「〇〇センター」「〇〇研究所」などの表現
※一定の医療を提供する医療機関であるか、またはその診療において地域の中核的な機能や役割を果たすと都道府県が認める場合を除き(例:救急救命センターなど)、広告を掲載することは許可されていません。
患者の主観に基づく、治療等の体験談
- 患者さんが書いた口コミやお礼の手紙の掲載
- 施術内容やその効果の記載がある体験談の掲載
患者を誤認させる恐れのある広告
- リスクや費用等の説明なく、治療前後の写真・イラストのみを掲載すること
公序良俗に反する内容の広告
- わいせつな内容、残虐な画像や映像、または差別を助長する言葉や表現など
記載したものはあくまでも一例ですので、詳細に関しては厚生労働省のホームページをご覧ください。
▼医療法における病院等の広告規制について |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
ガイドラインを違反した場合
ガイドライン違反は主に自治体や一般ユーザーからの通報で発見されます。ガイドライン制定元である厚生労働省に関しては、委託事業である「医療機関ネットパトロール」を介して、一般ユーザーから違反の情報を募っています。
▼医療機関ネットパトロール
http://iryoukoukoku-patroll.com/
違反が認められた場合、まずは厚生労働省から通知が来ます。その際、通知を受けた側は適切な修正を行います。一ヶ月後に修正が行われているかチェックが入るので、そのタイミングで該当箇所が修正されていれば問題ありません。
修正が行われなかった場合、自治体より広告の中止もしくは是正が求められ、その指示にも従わなかった場合、最大で6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられることがあります。また、罰則の事例が公表されることもあるため、医療機関としての信用度が著しく損なう可能性があります。
まとめ
このように、「医療広告ガイドライン」は私たちの健康を守るために細かく規定されており、万が一違反してしまうと罰則を受けることになります。ですので、ガイドラインの内容を適切に理解し、遵守した内容の広告・ホームページを制作する必要があります。また、いつガイドラインが更新されるか分からないので、こまめに状況をチェックすることも大切です。
弊社には「医療広告ガイドライン講習認定」を受けた社員が多数在籍しており、日頃からガイドラインに沿ったサイト制作・運用を行なっています。
医療機関のホームページ制作のご依頼や、お悩みなどがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください!