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「サウンド・オブ・フリーダム」米で話題の社会派映画

映像愛好会

システム部の渡辺です。映画「サウンド・オブ・フリーダム (SOUND OF FREEDOM)」みてきました。

実話ベースの人身売買事件と大捕物

この映画のとんでもないところは、実話ベースの人身売買テーマな点です。人身売買なんて、日本の日常ではまず耳にしない単語ですが、遠い南米ホンジュラスで誘拐された子供の写真が、カリフォルニアの一室で「ペド用の子供カタログ」としてネットにアップロードされる流れを見せつけられると、気がついてないだけですぐ近くにある問題なんじゃないかと思えます。

人身売買・現代奴隷の実情

いま現在の現代奴隷の数 – 約5,000万人 (国際労働機関 ILO) 。これは奴隷制のあった時代の奴隷よりも多い数といわれてます。というのを映画で知ったのですが「リンカーン奴隷解放宣言は150年以上前だし奴隷なんて・・・」ぐらいの認識だったので、今、この現代こそ、人身売買ビジネスが、人類史上もっともひどい人数なのだという事実は衝撃的です。

  • 大西洋奴隷貿易 約1,200〜1,500万人 (らしい)
  • 現代奴隷 約5,000万人

なんと(?) メル・ギブソン製作総指揮

監督はアレハンドロ・モンテペルデです! が、製作総指揮としてメル・ギブソンがいます。
メルギブソンを思うと「パッション」「アポカリプト」がよみがえって、映像で観る生々しい痛みを思い出しちゃいます。「サウンド・オブ・フリーダム」も観た後に深く心をえぐってくるところ同じだ! とこじつけられますが、映画の根底にあるキリスト教観など共通するものが感じられます。

この記事曰く

メルギブソン絡みの該当箇所日本語訳

批評家からは賛否両論だったにもかかわらず、「Sound of Freedom」は、映画の開発中の困難な状況や、メル・ギブソンを含む多くの著名人からの支持により、興行収入で大成功を収めています。
〜略〜
映画製作者たちは、「Sound of Freedom」の権利を買い戻すために戦い、メル・ギブソンを含む多くのトップクラスセレブから支持を受けました。ギブソンはビデオで次のように述べています。「今日、私たちの世界で最も不安を感じさせる問題の一つは、人身売買、特に子供の人身売買です。この犯罪を撲滅するための最初のステップは認識を広めることです…ぜひ『Sound of Freedom』を観てください。」

米興行収入 & 制作費でみても異例の大ヒット

アメリカで2023年7月4日公開、「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」と同日公開ということで比較しますと、

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

制作費は、約3億8000万ドル
2023年のアメリカ興行収入は、約1億7,200万ドル

サウンド・オブ・フリーダム

制作費は、約1,400万ドル
2023年のアメリカ米興行収入は、約1億7,400万ドル

『低い制作費で、2023年興行収入ランキングでインディジョーンズを上回って10位、大成功を収めた』というのがポイントですね。比較すると、むしろインディジョーンズの制作費にたまげます。劇中のあのシーンでかけたビートルズの「Magical Mystery Tour」、あれの使用料だけで 約100万ドル払ったそうです。(ハリソン・フォード談) いやしかし、あのシーンの「Magical Mystery Tour」は「老けたー!」という衝撃と時代の変化を音楽で叩きつけられてすごくよかった記憶です。

日本ではそんな話題になってない?

サウンド・オブ・フリーダムの上映館が少なくて驚きました。業界的な話はわからないのですけど、「日本人には、ウケないだろ」ということなのでしょうか。

オススメできる層

「子供は売りものじゃない」に共感できる人

オススメではない層

ポップコーンがまずくなる映画は絶対観ない人

映画を観おわるとエンドロールにて、主演の「ジム・カヴィーゼル Jim Caviezel」のメッセージが流れるのですが、このスピーチが観客に呼びかける内容で「スティーブジョブズの言葉の引用」「リンカーンの言葉の引用」からの

「この映画は『アンクル・トムの小屋』になってほしい。だからあなたの周りの人にこれをすすめてほしい」

と頼まれます。人身売買、現代奴隷解放のために一緒に戦おう、まずはこの周りに勧めて多くの人にこの現実を知ってもらおう、というわけですね。

映画で描かれる、ノンフィクション部分

映画と実際の違いに関する解説はこちらのページがわかりやすいですが、ほとんどそのままです。(最後のクライマックスバトルはやっぱり創作だった!)

主人公「ティム・バラード Tim Ballard」

実在する人物で、元国土安全保障特別捜査官。捜査官辞職後に非営利組織 O.U.R. (Operation Underground Railroad) を起ち上げた人。

トリプル・テイク作戦 (Operation Triple Take)

2014年に上記 OUR とコロンビア政府の共同でおこなった3都市で同時摘発作戦。そのうちのカルタヘナ島で行われたものが劇中でドラマ化。123人の人身売買された人々を救出、うち 55人が子供。

感想

子供が救出されるシーンは、ビシビシ涙腺にきます。

主人公のティム、その仲間含めて「自分の実の子が奴隷にされた」というわけではなく、「遠い外国の他人の子供が奴隷にされている」というような立場なのですが、自分の仕事、生活、命をかけて誰かの子供を救おうと決心するシーンが何度かあります。
同じ形を繰り返し描かれると、波のように感じるものがあります。他人の子供のために自分をなげうてるのか? と。
その答えのように「神の子供達は売りものではない God’s Children are not FOR SALE」というセリフがあります。私は宗教的な「神の子」の意味を把握してないのですが、「誰の子供か、ではなく、すべて神の子。だから救うのだ」ということでしょう。

「さて、この子供の不幸は、あなたには関係のない問題だった? 無関心でいいのかい?」という問いが、観てる側に押し寄せるような映画でした。