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名作再び! 映画「グラディエーター2 英雄を呼ぶ声」を観るべき理由
システム部の渡辺です。「グラディエーター2 英雄を呼ぶ声 Gladiator 2」観てきました。
名作「グラディエーター」の続編!
日本人とローマ人の共通趣味は風呂好き? いえグラディエーター好き! です! 2024年11月15日に日本公開なのですが、なんと米国公開 11月22日より早いというご褒美先行公開!
グラディエーターは超おいしい最高の素材
1. 古代ローマ、禁断の娯楽スポーツがここに
現代でもルールの縛りが少ない格闘技はありますが、武器何でもあり、集団乱戦、殺人あり、猛獣利用あり、こんなむちゃくちゃなスポーツはグラディエーター闘技だけでしょう! 現代では絶対許されない凶悪極悪、禁断の娯楽スポーツといえます。それを倫理観をすっとばし Gladiatorial Combat が映像として楽しめるわけです!
私たち映画の観客はまるでローマ市民とともにコロッセオ観客席にたち、命を賭けた血みどろの戦いを観戦する背徳的贅沢体験です。
2. みんな大好き古代ローマ
一般的に「現実感がありつつ少し違うルールや価値観、舞台設定を楽しむ」というジャンルが、神話、ファンタジー、都市伝説、ホラーとかだと思うのですが、古代ローマ情報に喜びを覚えるのもその一種ではないかと思います。2000年近く昔の古代ローマは、ファンタジーのようにすら感じる現実。リアルな文献に溢れ、引き継がれている芸術や文化の系譜もあり、そこらへんのファンタジーとは情報強度が違う、という言い方もでき・・・できますでしょう?
3. リドリー・スコットという歴史スペクタクル映画監督による人類英知を結集した古代ローマ再現
「グラディエーター1」と、撮影技術を比べるべくもないでしょうが、1 は2000年制作の20年以上前なわけで、CG などは薄く弱かったろうと思います。そのCGや撮影技法の意味では今作 2は、最新の人類の英知を結集した古代ローマ再現だったのだろうと思います! これだけでも人類史の宝と思ってみたくなるってものです!!
歴史スペクタクル作品をみるとけっこう「リドリースコット監修」というのは多い気がします。私は「ここが違う!」みたいなことはわかるわけではなく、今回もローマ改変は多々ありそうで、たぶん今作「グラディエーター2」のリアリティラインから考えると、「真実よりも演出優先」はありそうですが、受け入れます。
つまりグラディエーターとは、トリプルおいしい極上の素材といえます!
前作をみていなくても楽しめる?
前作1 の最強グラディエーター伝説の後の話で、1 で少年としてでていたキーマンが、大人になって 2 の主人公になっています。
基本、知らなくても楽しめるといいたいですが、ところどころ前作 1を観ていることを前提としたシーンは少しあります。とはいえ正直、物語性よりも映像美やバトルシーンを楽しむ映画だと思うので関係ないでしょう。
伏線回収シーンで思い出し再現カットをいれるぐらいの優しいストーリーテリングなので、前作知らなくてほとんど想像で補える、察することができると思います。
実在古代ローマと照らし合わせてみる (ネタバレあり)
映画グラディエーター2 は、セウェルス朝(ゲタとカラカラの共同皇帝時代)
史実では、2人が存命で共同皇帝だったのはものすごく短い期間で、211年2月4日〜12月 (1年間も続いていない)。「ゲタとカラカラはお互いを憎むべき政敵として忌み嫌った」とありますが、映画では基本的に仲良さげに登場します。
主人公ルシアス・ヴェルス
Paul Mescal as Lucius “Hanno” Verus
架空の人物だと思われます。劇中ではローマの帝政を終わらせ、共和制ローマを復活させたような演出ですが、史実ではそういうことはなさそうです。
マルクス・アカシウス将軍
Pedro Pascal as Marcus Acacius
架空の人物だと思われます。劇中ではローマの名将軍、英雄として描かれます。ヌミディア ( Numidia チュニジアあたり) 侵攻と征服は、セウェルス朝で特筆する点はないと思います。カエサル時代の紀元前に、ヌミディア侵攻と一部属州化がされています。
カラカラ皇帝(兄。本名ルキウス・セプティミウス・バッシアヌス)
Fred Hechinger as Emperor Caracalla
カラカラ浴場が有名です。映画では猿の相棒がいましたが、特にそういう逸話はなさそうです。
Wikipedia にある史実の「放尿中に近衛兵に暗殺された」というのは映画の描写とは違います。(放尿中に暗殺されたという文献の方が疑わしくもあり?)
史実ではその後マクリヌスにとってかわれれた、というのはある意味映画も正しい描写ですが、史実のカラカラはマクリヌスに殺されたわけではないようです。
ゲタ皇帝(弟。本名プブリウス・セプティミウス・ゲタ)
Joseph Quinn as Emperor Geta
カラカラによって暗殺されたというのは、映画も史実も同じ方向です。直接手を下したわけではないでしょうけど。
マクリヌス (本名マルクス・オペッリウス・セウェルス・マクリヌス・アウグストゥス)
Denzel Washington as Macrinus
映画では、主人公剣闘士の雇用主であり、謀略により物語を進めるキーマン、悪役でいて魅力的ですごくよかったです。
史実でゲタとカラカラの次に、元老院議員から皇帝になったマクリヌスと同名ですが、映画ではほぼ違う人物像。
映画では剣闘士を仕切っていたが、史実ではそんなことはなさそう。モーリアニア出身 (北アフリカ)だけど、ベルベル人というそうで、アフリカ系の肌の黒さではさそう。
本当に素晴らしい演技と存在感でした。以下、デンゼルワシントンのインタビューの抜粋です。
たぶん69才にして新たな境地に至ったということでしょう! たぶん!
「『マルコムX』(1992年)の後、ひどい作品をいくつか作っちゃったんだ。調べてみてよ。タイトルは言わないけどね。それは全部90年代の作品。でも稼いではいたよ。責任があったからさ。人生では、学び、稼ぎ、そして返す—つまり社会に貢献するんだ。例えば、もし人生が90年だとしたら、30歳までは学び、30歳から60歳までは稼ぐ…だから、その時期は稼ぐ時期だったんだ。」
(省略) グラディエーターII での役柄について、もし彼の助演が絶賛されているとしたら、それは観客がスクリーン上で彼自身の人間性を多く感じ取るからだと彼は新聞で語った。
「役に自分を持ち込むんだと思う。自分では、いい奴だと思ってるし、正しいことをしようと心がけてる。シンプルな人間で、素晴らしい仕事に恵まれてる。それで、たぶん俺の映画を見る時に『デンゼル?彼はいい奴だよ。他の作品でもそういう一面があるのを見てきた』って思ってもらえるのかもね。どんな仕事でも、自分を反映させるんだよ。そして、人を助けるようにしてるんだ。」
ルッシラ (本名アンニア・アウレリア・ガレリア・ルキッラ)
Connie Nielsen as Lucilla
前作からの引き続きの役で、前作コンモドゥスの姉であり、今作主人公の母親。
史実でルッシラが暗殺を企てようとする相手は前作のコンモドゥス皇帝であり、今作のゲタ・カラカラとは無縁どころか、ルッシラ死後にゲタ・カラカラが生まれるので絡みがありません。
バトルシーン
- サイにのって突撃してくるバトルシーンがありますが、猛獣バトルとして人とサイが戦うことはあったようですが、サイに人間が乗るのはかなり難しく、フィクションっぽいです。
- コロッセオ内での船上の戦いですが、「ナウマキア(模擬海戦) naumachia 」は記録として存在します
ラッセルクロウが嫉妬!? ほんとに!?
ラッセルクロウが新規で演じるシーンはありませんが、ラッセルクロウ演じる前作主人公マキシマスの偉大な功績、意志を引き継ぐシーンは物語の根幹にあり、さらにラストバトルでこれでもかというほどの(ちょっと笑ってしまうぐらいの)、マキシマス(の聖遺物)が主人公を守ってくれるシーンがあります!! つまり2人は共に戦っていたってことですね!!