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今年完成したキーボードをベースに来年作るキーボードを練る(キーボード沼)
去年から作っていたキーボードが今年ようやく完成して、かなり慣れてきたので(飽きたともいう)来年作るキーボードの仕様を考えるぞ。
今年完成したキーボード
左手と右手に分割されたキーボードと、見た目を合わせたテンキー。
レイアウトは標準的なロウスタッガード。
ロウスタッガードってのはあれだ、キーの行(row)が水平方向に完全に揃っているのではなく、行ごとに横方向に少しずつずらされている配列で、いわゆる普通の配列。
界隈では他に縦に並ぶカラムスタッガードと縦横完全に揃ったオーソリニアがあります。
タイプライターの時代に、機械とキーを繋ぐ棒が干渉しないようにずらす必要があったからこうなっているけど、垂直方向に揃っていた方が手首の移動がないので人間工学的に疲れないとかカラムスタッガード派によって主張されています。
せっかく自作するんなら同じ配列じゃない方がいいってのはわかるんだけど、30年この配列キーボード使ってるからね。仕方ないね。
あと、ISO Enterキーがどうしても入れたかった。ISO Enterってのは普通の日本語キーボードにあるやつで、上側の幅が大きくなってるやつ。
英語キーボードだと、Enterは単なる横長のキーになっています。
キーボードが左右に分割されているのは、左右に分割することで手が体の中央に集まって姿勢が悪くなることを防止するためです。
実際かなり効果があって、肩甲骨が丸まって痛くなることが減った気がします。
他のキーボードにない特徴としては、左キーボードの右端と右キーボードの左端のキーの半端部分に隙間ができないようにちょっと大き目のキーを配置してることでしょうか。
市販のキーキャップが使えなくなってキーキャップを全部自作することになりましたが。
キーキャップはレジン製の無刻印。レーザーとか用意して刻印仕様かと思ったのですが、写真見てわかるようにつるっつるになるまで磨いて手触りが非常に良いのでレーザーで傷付けるのがもったいなくなりました。
キーボードの筐体は真鍮と革で出来てます。
真鍮はJLCPCBに外注で6万ぐらいしたので(CNC加工5万+送料+輸入消費税と代行納税手数料)来年は別の材質でいきたいです。机が水平でない場合にカタカタいう状態を防止するために牛革を加工して下敷き的なものを作りました。
あと、当然ですがちゃんと光ります。
ファームウェアはQMKです。
反省点
はじめてのキーボード自作だからね。仕方ないね。
1. 電力食いすぎ
LEDをこれだけ付ける(100個)と、無点灯時で100mA、全部点灯時で1A使います。
USB2.0の場合定格500mA、USB3.0の標準で900mAなことを考えるとさすがにちょっと食いすぎな感です。
2. 大きさが統一されてない
右手用キーボードだけ横にちょっと長い。
机で他の作業をするときに3つのキーボードを重ねて片づけることができるとすごく便利だけど、サイズの不統一のせいでそれができない。
重ねられると持ち運びや梱包がたぶんすごく楽。
3. ほこり付きすぎ
写真見るとわかるのですが、ほこりが付きやすいのか、付いた埃が取れずらいのか、
それともつるつるに磨いたせいで目立っているのかはわからんのですが、汚く見えるのはどうにかしたい。
4. 原価高すぎ
ざっくりどのくらいかかってるかを計算すると、
真鍮の筐体 | 60,000円 |
下敷きの革(A4サイズの革3枚x3) | 10,000円 |
PCB基板とはんだリフロー用メタルマスク外注費 | 10,000円 |
キーキャッププリント代 | 10,000円 |
キースイッチ(Durock Silent Linear Dolphin) | 12,000円 |
LED、コンデンサ等電子パーツ | 5,000円 |
キーソケット、スタビライザー | 3,000円 |
合計 | 110,000円 |
材料だけで110,000円なので、趣味で使った金額だというなら全然ありな金額だけど、成果物のキーボード単体で見ると、販売はおろか友人にあげるための予備を作るのも気が引ける金額。
せめて展示会で頒布とかしたい。
なお、キーキャップの試作とか基盤の試行錯誤にかかった費用は意図的に含まれていません。
対応策
1. 電力問題への対応
LEDを実装しなければほぼマイコンの消費電力だけになるので1キーボードあたり30mA。
光らないキーボードとか、楽しくないよね、という気分はかなりある。
冷静に考えて要らないし、文字が透過するようなキーキャップを作らない限り、まったくもって機能的でない。
別の解決策としては自前の給電方法、たとえば専用のセルフ給電のUSBハブを用意してあげるとか。
2. 大きさの統一
キー配列の見直しで左右を同じ大きさにする。
60%キーボードとかのキーを減らした配列であればこれは簡単に出来そう。
フルキーボードでこれをするには左手用とテンキーに余分な機能をつける感じなると思う。
候補としては左手にマウスホイールやロータリーエンコーダ、LEDインジケーターを付けたり、テンキーにUSBハブを組み込んだり。
コストとのトレードオフになりそう。
3. ほこり対策
キーキャップをざらざらなものにする、コンクリートなどの静電気とかが関係なさそうな素材にするなど。
根本的な対応として、蓋がかぶせられるような構造を採用するなど。
4. コスト削減
真鍮の代わりに安価な材料を使用する。(安っぽくなるのはだめ)
キーキャップ、キースイッチや電子部品のコストはキー数に比例するので、40%配列であればコストも40%になるし、60%配列なら60%になる。
コスト気にするならLEDは削るしかない。
結局どんなものを作るのか
趣味で作っているのに金額制限とか訳が分からないと思う心と、それじゃ頒布できないっていう二律背反を満たすために、2つキーボードを作ればいいという結論(沼)
頒布仕様(2025年上半期用)
- キー数は60%
- ボードは2分割(左手、右手)
- 配列はオーソリニア
- 左右の大きさを揃える
- LED実装なし
- 蓋を付けられるようにしたうえで、2つのキーボードを重ねられるようにする
- コンクリート製オリジナル筐体
- キーキャップは市販のものを使用する前提
低コスト仕様だけど、コンクリート製、重ねられる、蓋が付いている、という特徴で差別化を図る。
配列がオーソリニアなのは、市販のキーキャップを使う前提だと、ロウ/カラムスタッガードではガタガタした部分が出来てしまうため。
左右のキーボードをパズルみたいに組み合わせることで解決を図る場合もあるようだけど、今回は左右同じ大きさにする必要があるので見た目上オーソリニアにせざるを得ない。
浪漫仕様(2025年下半期用)
- キー数は100%
- ボードは3分割(左手、右手、テンキー)
- 配列はロウスタッガード
- 大きさを揃えるために、左手にはマウスホイールとロータリーエンコーダとLEDインジケーターを実装
- テンキーにはTypeCのUSBハブを実装、セルフ給電をするためにACアダプタ対応
- 3つのキーボードの大きさをそろえる
- LED実装あり
- 蓋を付けられるようにしたうえで、3つのキーボードを重ねられるようにする
- コンクリート製オリジナル筐体
- コンクリート製オリジナルキーキャップ(軸はレジン製)
費用は基本考えないけど、蓋も作ることを考えると真鍮だと筐体だけで10万超えてくるので、そこだけ別素材。
機能盛り盛りのフルスペック仕様。
配列についていろいろ考えたけど、自分が使うキーボードにISO Enter以外のEnterは載せない。そう考えるとロウスタッガードしか残らんのよね。
左手用マウスホイールの試作は既に終えていて、真鍮製の太目のホイールを持ったものが実装される。
エンコーダ自体は50円なのに、ホイールやらもう片側用のミニチュアベアリングの方が高いという…。
年末年始設計して、天下一キーボードわいわい会と次のコミケでのキット頒布を目指します。本も書きたい。