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映画「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」
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ナチス時代、ベルリンのユダヤ人の実話! 戦争ものの枠を超えた人間ドラマ
システム部の渡辺です。映画、日本題「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」、ドイツ題「Stella. Ein Leben.」を観てきました。2025年2月7日日本公開、ドイツ公開は2024年とのこと。
実在の人物 ステラ・ゴルトシュラーク Stella Goldschlag を人生を描いた映画です。
“Stella. Ein Leben.” wikipedia
制作陣のポジションは?
まず歴史ジャンル、戦争ジャンル映画をみるには「どのポジション? プロパガンダなとこある?」を、偏っていてもいいのですけど気にしたいところです。
パンフレット買って読みましたら、監督の Kilian Riedhof キリアン・リートホーフは、たぶん反トランプで、「名指しはしてないけど、、これは AfD を批判している一文っぽい」があるので、反 AfD の人なのでしょうが、映画の視点には影響はなさそうです。AfD の注目高まるドイツ選挙は 2025年2月23日、今から2週間後です。
観た印象でも、この「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」に関してはそういった政治的な点は気にしないで良さそうで、「極度のナチス批判」や「極度のホロコースト印象づけ」とは思わない、客観的な視点で作られている印象です。
主人公ステラの変化
この映画はナチス戦争映画ではあるのですが、人物描写が見事、俳優の演技が素晴らしくて、ステラの人間像を深く描いていました。
ベルリンで暮らしていただけの普通の少女が巻き込まれるように狂っていく、その描き方が見事でした。
あらすじ – 青春〜ベルリン潜伏ユダヤ人へ
主人公ステラが青春謳歌しているところから描かれるので、現代人が感情移入をしやすいです。1943年、アウシュヴィッツ強制連行を隠れ潜んで逃れ、ベルリンの潜伏ユダヤ人になります。都市部のユダヤ人というのは、想像するだけでも非常にスリリング、恐ろしい状況です。
逮捕、リンチ拷問、親を人質に、裏切り者として狂っていく
ゲシュタポ秘密警察に掴まって拷問、このシーンが生々しく痛々しいです。当時のナチスにとってユダヤ人は人扱いではないということを嫌というほど味わわされます。
そこからの流れで両親と自分の命を延命するために、ゲシュタポ協力者としてユダヤ人を売る側になります。
ユダヤ人を敵に回している状況で、帰る場所はユダヤ人のいる収容所、「裏切り者!」と罵られます。地獄です。どうしろっていうのか本当にいたたまれない気持ちになりました。
戦後の裁判〜自殺
この映画の恐ろしいところは、戦後も地獄が続くというところでしょう・・・。ステラの裏切りで、あの時に売ったあの優しいユダヤ人紳士なおじさんが、さらに友達のあの人が、ステラを訴えて、憎悪の言葉を浴びせます。映画の総括的に入る、幼なじみとの会話でのステラもいたたまれないリアルさでした。
被害者か、加害者か
全体的にステラは巻き込まれ、ただ生き抜こうとした、という印象を持ちました。
両親はユダヤ教徒だけど、ステラ自身はユダヤ教徒でもなかったようで、「ユダヤ人にしては珍しいブロンド」確かホロコースト激化前に「ブロンドだから私は大丈夫」というようなセリフがあったような? ユダヤ人へ偽造身分証作成も、「生き抜くために、お金のため、男のせいで」という描き方であり、ステラの強い信念やユダヤ人のためにというような、正義や自分の選択のために代償を払ったという風にもみえません。極限状態の仕方がない行動だったといえますが、、、ステラを訴えたユダヤ人の中にいた「母親の自分が連行されたせいで赤子が死んだ」、たぶん赤子は誰もいない家に置いて行かれて死んでしまったという悲劇を思うと、ステラを憎むのも当然でしょう。本当にいたたまれないです。
感想
自分がステラの立場だったらどうするだろうか? この問いかけがベースになっており観る側に迫ってきます。どうするか? あれだけ拷問と極限状態、私はあらがえないでしょう。
監督が当時の歴史検証、舞台検証は綿密にやったといっているとおり、没入感がすごく当時の空気感がひしひしと伝わります。空襲の中で狂ってしまうシーンも印象的。
その戦争映画としての面と同時に「罪とはなにか?」というテーマに対して、極限状態の一例を提示する作品です。観て、すごくよかったです。